初めてのサーキット!お金を掛けすぎないのが吉!最低限、ここだけメンテして挑戦しよう!
- 順平 佐野
- 2020年3月1日
- 読了時間: 8分
大人の自動車教習所2.0の開催を通じて、参加者の皆さんから、
「実際サーキットを走るのに、いくら位の予算が必要なの?」と聞かれる機会が多かったので、私の意見をまとめておきます。
なお、予算200万円程度~(車両代込み)を書いているので、「もっと格安の中古を買ってスタートできるよ!」という意見も多数あるかもしれません。が、それは周囲にサーキット走行や整備のエキスパートがいて、整備が自分でもできる方が為せる技です。
10年以上前の安くなったクルマでお金を掛けずにサーキットを走る、というのは、一般の人にはものすごくハードルが高いことであるとご理解ください。ほとんどの場合、格安中古を買ってスタートすると、サーキットでスムーズに走れるようになるまでに、非常にお高い勉強代が掛かると思います…。
まず、気持ちよくサーキットを走るために、大事な考え方は2つ。

一つは、無理のない予算で車を買うことと、一つは、「カスタム」は最後の砦という考えで、できるだけノーマルで走ることを心がけることです。
無理のない予算とは、だいたい、車を買おうと思っている予算の半額程度。 例えば、400万円の予算がある方なら、200万円に抑えておくと良いです。
サーキット走行は基本的に「自己責任」です。『サーキット特約』があればカバーできますが、格安ネット保険などでは『サーキット特約』を用意していない自動車保険はほとんどです。そのため、壊してしまうとリカバリが効きません。 うっかり全損してしまった場合に、すぐに次の車を買えるように、使える予算の半額で車を購入すると、走行中に緊張しすぎずにすみます。
ただし…大人の自動車教習所2.0のような、初心者が安全に練習できる機会を活用し、初心者中心の走行会からスタートをすれば、 事故をするリスクは随分減ると思います。もらい事故は防げませんが、自分でぶつかる率は、よほど無謀なアタックをしない限り、ほとんど無くなるはずです。 筆者は、何度か怖い思いをしたものの、サーキットデビューからある程度楽しむ程度に走ってきていますが、トレーニングのおかげさまで無事故です。
さて、話を戻しましょう。
初めてサーキットを走るときは「あれもこれも、やったほうがいいかも!?」になりがちですが、やるべきことはわずかです。

1:エンジンオイルをスポーツ走行対応のものに変更する(1~3万円程度)→これは車種ごとに違うので、ディーラーのわかる方か、メカの方に相談するといいでしょう。あるいは、HC GALLERYのSNSにコメントやダイレクトメッセージいただければ調べるのをお手伝いします。
2:ブレーキオイルを高温耐久性の高いものに変更する(1~3万円程度) →基本的に「DOT4」という規格のものに変更すればOKです。
3:ブレーキパッドをスポーツ仕様に変更する(4~10万円程度)→これは車種ごとに違うので、ディーラーのわかる方か、メカの方に相談するといいでしょう。あるいは、HC GALLERYのSNSにコメントやダイレクトメッセージいただければ一緒に調べます。
4:タイヤを新品、グリップの高いものに変更する(8~15万円程度)→最初は、ヨコハマタイヤの『ADVAN NEOVA AD08RS』あたりにしていれば間違いないでしょう。ディーラーで発注すると高いです。楽天などの通販で安いものを購入し、オートバックスやタイヤ交換サービスのお店で交換しましょう。
ちなみに、初度登録から10年以上経った車は、上記の限りではありません。なので、車両は下記の基準で選びましょう。
★初度登録7年以内(できれば5年以内)★走行4万キロ以内★フルノーマル車★整備記録あり★できればディーラー車
ディーラー車(いわゆるメーカー系中古)を推す理由は、初心者にとって中古屋さんの品質を見極めることは非常に難しいからです。(※例外はありますが、大手でも要注意) ディーラー中古であれば、その店舗で販売した車両の買取車両であることが多く、かつ、整備内容も明確になっているケースが多いので、失敗することが少ないのです。 多くの場合、納車整備もしっかりとしており、 納車後のトラブルが少なく、保証も充実しているケースが多いです。 一般の中古車店より20~50%程高いことが多いですが、後の出費を考えれば安い出費でしょう。
なお、上記の話ですが、全てにおいてイタリア車は除外です。イタリア車はある種、壊れることが美学で楽しみですので、初心者は避けたほうがいいでしょう。 アルファロメオのファンは、誰も「壊れないアルファロメオ」に魅力を感じません。 そういう、好きな人にはたまならないアブノーマルな趣味だとご理解ください。(ちなみに、最近のアバルトはかなり良いです。特に124スパーダーは中身はマツダロードスターです。当然、トラブルは少ないです。)

さて、お待ちかね。サーキットデビュー予算を見てみましょう。
★ご予算200万円プラン
・スバルBRZ →スバル正規ディーラーで、上記の条件でも100万円~150万円程で見つかるはずです。86でない理由は、足回りがBRZのほうが硬めでサーキット向きであり、カスタム費用がかからないからです。
・マツダロードスター(ND型) →マツダ正規ディーラーで、上記の条件でも180万円~200万円程で見つかるはずです。
・ゴルフGTI(第6世代・第7世代) →フォルクスワーゲン正規ディーラーで、上記の条件でも100万円~150万円程で見つかるはずです。
この手の車は皆さん、MTが欲しくなるでしょうが、初めてサーキットを走るならおすすめはATです。後ほどMTにステップアップしてもいいでしょう。 まずは、サーキットという場に慣れ、感覚を掴むことが安全なサーキットデビューに一番大切です。特にこの価格でDSGを搭載するゴルフは、ATでも非常に楽しめる1台です。
これらの車に、 ・油脂類交換(エンジンオイル・ブレーキオイル)で4万円 ・タイヤ交換(ADVAN NEOVA AD08RS)で10万円 ・ブレーキパッド交換で5~6万円
全部で170万円+販売手数料、と200万円以内の予算に収まります。 (NDロードスターはちょっと予算オーバーですが、だいたい200万円枠です。)
上記の整備で、富士スピードウェイ本コースでも十分にチャレンジすることができ、慣れると2分15秒程度のタイムで走ることができます。
同様に、ご予算400万円~500万プランであれば、
・アバルト124スパイダー ・アバルト595コンペンツィオーネ ・日産フェアレディZ ・ゴルフR ・BMW2シリーズクーペ ・3シリーズクーペ ・ジョン・クーパー・ワークス、 ・ポルシェ・ケイマン&ボクスター(981型) ・ポルシェ911カレラ&カレラS(997前期型)
ご予算700万円~1000万円プランであれば、
・ポルシェ911カレラ&カレラS(991型、997型後期) ・ポルシェ・ケイマン&ボクスターS&GTS(981型) ・アウディR8 ・ベンツ AMG GT ・日産R35 GT-R ・トヨタ・スープラ
などが候補に入ってきます。
「あれ?スバルWRXや、シビックタイプR、スイスポ、ロータス・エリーゼとかは?」という声が聞こえてきそうですが…それらはMT限定か、MTがサーキット走行対象になる車両ですので、初心者向けコーナーの本編では除外しています。 なお、ここでは詳しい話は避けますが、ATの場合、その機構が問題になります。 トルクコンバーター式(通称トルコンAT)とダブルクラッチ式(通称DSG/DCT)はサーキット走行に使いやすく、CVTはサーキットに向きません。
ちなみに、上記ほぼ全ての車両で、油脂類、ブレーキの強化は必要ですが、ディーラーから納車したらそのままサーキットに持っていける車もあります。 それが、ポルシェのケイマン、ボクスター、911カレラのシリーズです。
ポルシェは、全てフルノーマルの状態で、富士スピードウェイを何周も周回できる、ほぼ唯一の車で、意外とコストが掛かりません。 デメリットとしては、ネット保険の対象外となる分、逆に言えばサーキット特約にも加盟しやすいケースが多いので、実はメリットが満載です。
筆者のおすすめはズバリ、これ!
ご予算200万円なら…
GOLF GTIか、スバルBRZ、トヨタ86


GOLF GTIは、FF駆動で安定性が高く、早く、安心感バツグンで走行可能!しかも、ファミリーカーも兼ねることが可能! BRZ、86は、限界が高く、挙動が安定しているので初心者でも扱いやすく、かつ、速く走らせるには熟練が必要という、ドライバーを成長させてくれる車です。 なお、大人の自動車教習所2.0に登場するGOLF GTIは第7世代ですが、電子制御の介入が多く、腕を磨くには第6世代の方が良かったという印象です。 同じく、大人の自動車教習所2.0に登場するBRZは、STIの各種パーツで武装した車両ですが、排気音が小さくても良ければノーマルでも十分だと感じます。
ご予算500万円~800万円なら…
ポルシェ・ボクスター&ケイマンか、911カレラ!

「結局、一番安かった」という印象が強いのがポルシェシリーズ。
もちろん高い、けれども…
「サーキットを走っても、走行フィーリングが変わらない」 「フルノーマルを維持していればOKでわかりやすい」 「ノーマルでも富士本コース2分切りが目指せる」 「意外とサーキット保険に入りやすい」 「リセールが高い」
と、メリットだらけ。
事故さえしなければ、意外とオトクなクルマなのです。
上記のおすすめのクルマは、おすすめというだけあってHC GALLERYで実際に購入しています。 スポーツ走行で体感いただくこともできますので、「買う前に、スポーツ走行で試してみたい!」という方は下記のメルマガにご登録ください。 ご希望者が複数名集まったら、試乗兼トレーニングのイベントを開催します。
4万円程度~で、プロの指導のもと色々試せるメニューを揃えていますので、買ってからの「イメージと違った!」がなくて、オトクですよ。
プライベートレッスンの募集は、メルマガでのみ配信します。参加ご希望の方はご登録ください。 (レッスンのスケジュール情報のみ配信するメルマガです) ↓↓↓ https://39auto.biz/takefrontier2/touroku/sp/thread267.htm
執筆・文責:HC GALLERY編集長 MIYABECHI
街乗りから峠道、サーキットまで、様々なシチュエーションで『クルマを楽しみ切る!』を目標に活動するドライブ&スポーツ走行メディア『HC GALLERY』の編集長。 クルマの購入が趣味で、過去に50台の車両を購入し、実際に所有&ドライブした経験から、試乗ではわからない『所有したらどうなるの?』という観点に強みを持って情報をお届けしてまいります。
Comments